深夜の緊急地震速報。びっくりしますよね。
また、最近は台風や大雨などでの大規模災害も増え、避難指示や勧告が出ているのをテレビやウェブ、新聞などで目にしているのではないでしょうか。
大規模災害が増えてきて、ペットの問題が報道されるたびにうちは大丈夫かなあと不安に思っていました。
2018年9月13日、環境省は一般飼い主がペットとの災害対策を検討する際の参考とするため災害対策ガイドライン「災害、あなたとペットは大丈夫?人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>[pdf]」を作成し、公表しました。
災害、あなたとペットは大丈夫?人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>
環境省のサイトから全文はご覧いただけますが、こんな内容になっています。
- はじめに
- 災害がおこったら・・・ ~あなたはAさん? Bさん?~
- 一般飼い主向け 人とペットの災害対策ガイドライン
今まで起きた大規模災害や、被害の様子、ペットの被災や避難所でのトラブルについてを振り返り、今ペットを飼っている飼い主の皆さんに対して災害に向けての心構えや準備すべきことなどが簡潔にわかりやすく書かれています。
その中でとても参考になるのが同行避難のフロー図です。
災害直後から大混乱であろう1週間目までにペットと我々がどうすればいいかをフローチャート形式で説明してくれています。どこか常に見えるところに貼っておくといざというときに落ち着いて対応できそうです。ぜひダウンロードして目を通し、見えるところに貼っておくなどすることをお勧めします。
災害、あなたとペットは大丈夫?人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>[pdf]より
このほかに、平常時に飼い主が行うべき対策として普段からの備えや心構えについても一通り書かれています。 住宅・飼養場所の防災対策や、しつけ・予防接種などの健康管理。鑑札や迷子札の準備etc。
ぜひ一読していただきたいのですが、どうでしたか?対策しているようでいろいろまだ甘いところがあったのではないでしょうか。有事の時慌てないように見直しをしていきましょう。
災害時、うちのワンコはどうする?
非常時に慌てないため、ご家庭の現状を把握しておきましょう。
我が家の現状の把握
我が家には2頭の犬がいます。1匹は小型犬。3kgの老犬ミロ。もう1匹は10kgのチャイニーズクレステッドドッグの梵です。
ミロは東日本大震災も経験済みで、当時勤め人だったため自宅に誰もいない状態での被災。その日は帰れず、次の日に自宅にたどり着くまで一人きりで怖い思いをさせてしまいました。留守番時にはサークルに入れていたのですが、隣に置いてあった飾り棚の鉄パイプ部分がぐにゃりと曲がり、もう少しでミロの上に倒れてしまうところでした。
しかしそれ以上に部屋の中は惨憺たるありさまで、戸棚という戸棚が開き、中身が全部飛び出し、一番驚いたのが、重くて動かすのも数人がかりな壁一面のテレビボードがずれて動いてしまっていたことでした。他の部屋でも本棚は倒れたり片付けにだいぶ難儀しました。。
割と神経太いミロですが、暫くは警報の音におびえたりしていました。ですが数年がたった今では、警報が鳴ってもどこ吹く風、捕まえようと思ってもつかまりません。非常時につかまらない、これが目下最大の悩みとなります。
捕まえようとして逃げた先で、落ちてきたものにぶつかる…なんて考えたくもありませんが確率的にはなくはないです。
梵のほうは簡単で、極度の怖がりなので警報とともにこちらにさっと駆け寄りぴったりとくっついてきますので、捕獲は簡単。こちらが困るのは、キャリーが怖くて入れないため、避難時に歩かせるしかないことです。
試しに足を守る靴を履かせてみたこともありますが、悲鳴を上げて拒否。この状態ではガラスやがれきの散乱した地面を歩かせることになりかねません。10Kg越えたイヌを抱っこで避難できるかと言ったら…かなり疑問です。
畜犬登録や、予防接種、監察札、迷子札などは完璧!と思っていましたが、ミロは近年、老化による腎不全のため予防接種全般を免除され、その旨を役所に届け済みです。
しかし、ポテコはやらかしてしまい、本年度の狂犬病接種の猶予証明書のコピーをもらうのを忘れてしまったのです。今のところ鑑札のありなしで避難所に行けなかったという話も聞いたことがないので多分大丈夫だと思いますが、来年は絶対に忘れないようにしようと思います。
ということで現状ではどちらの犬も問題ありということになります。
次に非常時に必要なものを見ていきましょう。
非常時に向けて準備しておくもの
最優先事項・首輪とリード、予防接種、持病の確認
まず、外に出るときは必ず首輪とリードが必要です。災害時などの混乱しているとき、大きな音がする場合もあります。「うちの子はいつもおとなしいから大丈夫」と思っていても、通常と違う状況でパニックになったりして、はぐれてしまってはもうどうにもなりません。
抱っこやキャリーで移動する時でも可能なら首輪とリード、最低でも首輪はしっかりつけてから外へ出るようにしたいです。また、首輪には畜犬登録したときの鑑札や、注射済票、そして迷子札を必ずつけておくようにしましょう。これは災害時だけでなく平時の迷子の時などにも役立ちます。
長期間使っていない首輪やリードは、壊れている可能性もあります。特にベルトのような金属の機構でなくぱちんと止めるタイプのものは、プラスチック部分が劣化していて急に強い力が加わったとき壊れてしまう可能性もあります。必ず年に一度くらいは見直しておいてください。
現在外出時はフリー、とか、抱っこで移動しかしないのであまり使わないから首輪もリードもどこにあるのかわからない、という方はぜひこの機会に確認しておきましょう。
マイクロチップは非常時に有効かどうか未知数
犬・猫にマイクロチップの埋め込みを義務化するという改正動物愛護管理法が可決されました。2022年6月までに施行されるようです。同法は業者が新たに販売する子犬・子猫の体内に、15桁の番号が記録されたマイクロチップの埋め込むこと、そして飼い主の氏名、連絡先等個人情報の登録を義務づけています。
ですので今後数年たてば、理論上はすべてのワンコにチップが入ることとなります。ただ、現在チップの仕様が数種類あり適合しない読み取り機では読めないなどの問題も起きていたはずです。そして、読み取り機のない場所では確認ができませんから、非常時などの混乱期にすぐ確認ができるかどうかはわかりません。ですのでやはり少なくとも、首輪に迷子札は必要となります。
毎年の予防接種
加えて、感染症の発症や、避難時万一人にかみつくなどの事故があったときに備えて各種予防接種などはかならず済ませておきましょう。
水が出た時など、感染症が発生する危険もあります。狂犬病、そして3種ないし5種のワクチンはペットを守るためのものです。
我が家のミロのように、獣医師の指導の下でワクチンや予防接種の猶予証明書が出ている場合、それのコピーも忘れずにとっておいてください。もし万が一予防接種をしていないことで避難所などで受け入れ拒否などをされてしまった時に必要になります。
持病の把握
若いペットだとあまりないかもしれませんが、ある程度老齢のペットだと持病がある場合があります。できれば毎年健康診断を受けておきましょう。すでにお薬などをもらっている場合は、持ち出しできるように備えておきましょう。
持ち出し用品の準備
だいたい3日分、できれば5日分を目安にペットの防災用品を備えておくようにといわれています。必要な物資としては以下のようなものです。
- フード・水
- 常備薬(特に持病がある場合)
- 水入れ、えさ入れなど食器
- トイレ用品
- 健康の記録(既往歴、ワクチン接種歴がわかるもの。下記の防災手帳のようなもの)
- 写真(飼い主と一緒に写っているもの)
- ケージ、キャリーバッグ等
- その他(ペット用の靴、おもちゃなど必要に応じて)
餌やトイレシートなどはある程度余裕をもってキープしておくことにしています。でもこの量、車などが使える場合は積み込めばOKですが、徒歩で逃げるときにこれ全部持っていけるかと言ったら難しそうですよね…。
最低ラインとして食料・薬は確保しておきたいです。他はまあ何とかなるんじゃないかなー。
ただペットによってどうしても外せないものはあると思いますのでそれは個別にご準備ください。うちの場合はミロが屋外でトイレシートなしでの排泄を絶対しないため、トイレシートがどうしても必要となります。我慢の限界を迎えればする(正確には漏らす)のですが、我慢は膀胱にも悪いですし、それが原因で体調を崩しても困るので数日分は準備しておきたいところです。
非常時どうするかを決めておく
- 避難の仕方
- 家族がバラバラだった場合の連絡方法
- 避難先
などは先に決めておくべきでしょう。ペットがいる場合、家さえ無事なら最有力は家にとどまることでしょうが、そうもいかない場合どこで集合するなどは決めておきたいです。
勿論これはペットがいない場合もそうなのですが、みんなどこかに行ってしまって連絡がつかない!ということにならないようにしなければいけません。
さらに、うちの場合はミロはともかく梵が重すぎて長時間の抱っこは無理、極度の怖がりのためケージやキャリーには入れない、と頭が痛いところなんですが、家に一人だった場合2匹をどうやって運ぶかが課題です。一応梵が入るサイズのキャリーバッグは準備してあるので有無を言わさず押し込むしかないかなあ…と思っています。
でも10キロの荷物持ち運ぶの大変ということに変わりはありません…。
最寄りの自治体の取り組みの確認
東日本大震災のころは自治体も我々飼い主も準備や心構えができておらず、かなりの数のペットが同行避難できず置き去りにされました。また、運よく一緒に避難できても飼い主とほかの避難者の間でトラブルになるなどペットを巡る問題が相次いだようです。
しかし、それを教訓に自治体等ではペットと共に逃げる事が前提の大規模災害についての整備が整ってきています。
ですから、家がダメになったときの行き先候補第一は避難所です。自治体によっては毎年の訓練で、同行避難についての周知、ペット同行のルール説明、ペット台帳への登録などを行っているところもあるようです。自分の住んでいる自治体ではどのような取り組みが行われているかを確認しておきましょう。
持ち歩きを想定した「ペット動物のための防災手帳(埼玉県)」や「ペットのプロフィールシート(東京都府中市)」などが準備されている自治体もありますので、非常用の備えに入れておいたりするといざというときに安心です。
勿論、別の自治体にお住まいの方でもこの書式は有用だと思いますので、お使いいただいて大丈夫だと思います。
ただし飼い主さんと一緒にいられるとは限らない
同行避難とはいっても、飼い主さんたちと同じ部屋に入れてもらえるとは限りません。
ペットはペットだけで離れたエリアや、屋根くらいはあるかもしれませんが、屋外につながれるという場合もあります。正直通常屋内で買われている小型犬などが、飼い主さんと離されて屋外つながれる状態に耐えられるとは思いません。
特に持病のあるコ、老齢のコなどはそれだけで命の危険すらあると思います。とはいえ同行避難をせざるを得ない状況というのは、どう考えても大規模災害の時です。人間優先になってしまうのが当たり前。我々飼い主は家族同然と思えどそうでない方、アレルギーの方、犬や猫が苦手な方のことも考えなくてはなりませんので、飼い主側のほうで何とかするしかないでしょう。
緊急避難的に1日2日は外で何とかしても、そのまま何週間もというわけにはいかないと思います。災害発生時の緊急避難としての行き先候補第一は避難所、と私は思っていますが、それと同じくらい「そう何日も避難所にはいられない」と考えています。
うちの犬たちは「外には耐えられそうだが飼い主と離れたらたぶん泣き叫ぶコ」と「飼い主と離れるのは平気だが、外には耐えられない老犬」ですので、車を動かせる状態になればそちらに移動しかないなーと思っています。
最低限のしつけはしておくこと
上記の状態がクリアできても、吠える、噛みつく、ほかの犬と喧嘩をする、などの問題行動のある犬は受け入れてもらえない可能性もあります。たくさんのペットを個別に管理はできないでしょうから当然と言えば当然です。
できる限りの対応はしておくべきですが、とはいえペットを飼っているとどうしてもどうにもならない場合があることは想定しておかなければなりません。
普段からペットの様子をよく把握し、同行避難が無理そうだと思われる場合は、ほかの方法をいくつか準備しておきましょう。
特別の理由なくワクチンや予防接種をしていないペットの場合
ペットのワクチンや予防接種に関していろいろな考えの方がいらっしゃいます。
しかし、獣医の判断で予防接種やワクチンを免除されているという以外の理由で接種拒否をされている方は、非常時における感染症対策などの公衆衛生の観点から、地域の避難所にペットを連れていかないようにしてください。
狂犬病ワクチンを接種していない犬が人を噛んだり、ワクチン接種をしていないペットが伝染病などにかかり他のペットたちの迷惑になる可能性があります。それが理由で一律ペットは避難所不可などになってしまった場合、困るのはきちんと準備していたほかのコたちです。
上記のどうしても人が怖いとか、集団生活が無理そうなペットと同じように、避難所以外で何とかする方法をしっかりと考えておきましょう。
飼い主が不在の時に災害が起きた場合の想定
お留守番がない場合は除いてもよいですが、毎日飼い主さんがお勤めに出たりパートへ行ったりしている場合、不在の間ペットの安全を確保するための準備も必要です。
留守番をさせるときは、部屋の中でフリーにせず、サークルやケージなどを使用して周りに倒れてくるものや、落ちてくるものが何もない状態にしておくのがベストです。
2011年の時はサークル横の飾り棚(兼本棚)の鉄パイプが曲がり、160cmくらいの高さのある棚がミロのところに倒れかかっていましたから、本当に危ないところで、そのあとはものすごく注意しています。
飼い主の心構えが一番大事
東日本大震災より前にも大きな災害はたくさんありましたが、関東在住の自分にとって2011年より前は、正直自分が災害に合うというのは遠い世界の話でした。
それまでは同じような方が大部分だったのではないかと思います。しかしそれではダメだった。 我が家では幸いミロはケガもすることなく、帰るまでの1昼夜無事でいてくれましたが、もしあの時部屋内フリーにしていたら無事だったかはわかりません。
様々な状況を想定してペットと自分が無事に避難するために十分に準備しておきましょう。
日頃から備えシミュレートしておけば、たとえ想定外の状況や、準備する物資の不足、準備した物資の持ち出しができなかったなどのアクシデントに見舞われたとしても十分対応できるような判断ができると思います。
自分とペット、家族みんなが無事に避難するために一番必要なのはやはり心構え。9月は防災週間ですし、この機会に家族みんなで情報共有、話し合いをしてみてはいかがでしょうか。